SAPTオンラインスクール 特論講座
[講義題目]:「フィルタリング技術と宇宙GPS航法ー月測位衛星システムの構築」
[日時]: 2021年9月28日(火)9:00~16:30
[会場]: 測位技術振興会(SAPT)ビデオ会議室 A
[講師]: 宇宙航空研究開発機構(JAXA) 村田 眞哉 氏
[受講者予備知識]:線形代数、微分積分、確率変数の基礎的な知識があれば望ましい
[講義概要]: フィルタとは時間発展する未知量をその不完全な観測値に基づき推定する確率的なアルゴリズムであり、
様々な実問題に応用されています。
フィルタの特徴は推定処理のリアルタイム性と効率性にあり、得られた観測値に基づき推定値が修正され、
即座に最新の推定結果が出力されます。
この技術の応用例として、現在米国のGPSを使用して、地球を周回する人工衛星の位置や速度が衛星搭載のコンピュータによって
瞬時に決められています。
また分野の最新動向として、GPSを使用して月に向かう宇宙船の位置や速度を決定する技術や、月の近傍にGPSの様なシステムを
構築する議論が進められています。
これらの先進的な技術は米国が進める月探査計画(アルテミス計画)とも関連しており、本講座では各技術の解説に加えて
この壮大な計画についても紹介します。
[講義内容]: 1. フィルタリング技術(9:00-12:00)
(1) フィルタとは
a. 確率変数と確率過程
b. 状態空間モデルとフィルタの設計
c. カルマンフィルタ(Kalman filter, KF)
d. 拡張カルマンフィルタ(extended Kalman filter, EKF)
e. Unscented Kalman filter (UKF)
f. 粒子を使ったフィルタ
(2) 連続-離散型(continuous-discrete, CD)の状態空間モデル
a. 連続的に時間発展するモデルと運動方程式
b. 伊藤の確率微分方程式
c. CD KFとCD EKF
d. CD UKF
e. アルゴリズムの数値的な安定性の確保
f. 並列化や最新の研究動向
昼休憩
2. 人工衛星・宇宙機のGPS航法(13:00-16:00)
(1) Global Positioning System (GPS)について
(2) 各国の測位衛星コンステレーション
(3) GPSを使用した位置決定(測位)
(4) 人工衛星・宇宙機のGPS航法
(5) GPS航法の状態空間モデルと航法フィルタの設計
(6) 地球周回衛星のGPS航法
(7) 米国の月探査計画(アルテミス計画)について
(8) 月に向かう宇宙船のGPS航法
(9) 月の衛星測位システムの構築に向けた最新動向
3. 質疑応答(16:00-16:30)
[講師からのメッセージ]:聴講者にはテキストをあらかじめ配布します。またネット講義終了後も一定の期間、E-Mailで質問を受け付けます。
[受講料]: 特論講座(1日) ¥20,000(会員), ¥25,000(非会員),¥10,000(学生)
本講義は、受講者総数(学生の方は0.5名に換算)が3名に満たない場合は、原則として閉講いたします。