SAPTオンラインスクール 基礎講座 23-B1
[主催]: 測位技術振興会
[講義題目] 世界一よく分かる! カルマンフィルタ! – 確率統計・推定論から非線形フィルタまで
[日時]: (Lec-1) 2023年10月26日(木) 9:00~17:30
(Lec-2) 2023年11月2日(木) 9:00~17:30
[会場]: 測位技術振興会(SAPT)ビデオ会議室 A
[[Lec-1講師]: 立命館大学 名誉教授 杉本 末雄 氏
[略歴] 1974年6月Polytechnic Institute of New York(現 New York University) Ph.D
専門分野:確率システム制御工学,信号・画像処理とその応用
近刊(村田眞哉・大西勝巳氏と共編著):「Nonlinear Filters」(2020年, オーム社)
測位技術振興会・会長
[[Lec-2講師]: 宇宙航空研究開発機構(JAXA) 村田 眞哉 氏
[略歴] JAXAで宇宙GPS航法、月測位通信衛星システム(Lunar Navigation andCommunications Satellite System)、
粒子フィルタの研究開発に従事.
この間、アールト大学客員研究員(2021年10月~2022年3月)、テキサス大学オースティン校客員研究員(2022年4月~10月).
博士(情報理工学、東京大学)
[受講者予備知識]: 理工系大学,高専等で学ぶ線形代数、微分積分、確率統計の基礎的な知識があれば望ましい
[講義概要]:
周知のカルマンフィルタ(1960年)は,観測信号から雑音成分を取り除き,観測信号に含まれているシステムの状態を推定するための
最も有効な手法です.
確率システム制御工学・信号処理,GNSS測位での位置の推定など、広範な応用がある.
本講義では,カルマンフィルタを完全に理解,納得するために,世界一、分かり易い方法でカルマンフィルタを導出します.
そのために,簡潔に重要な確率統計の基礎、特に「条件付確率密度関数」の概念を学び,工学や社会科学全般で有用な線形回帰モデル
に対する推定論についても、分かりやすく講義いたします.
カルマンフィルタは、いわゆる線形ガウス型の状態空間モデルにのみ適用可能であり,応用上、非常に重要となる非線形系への拡張である、
拡張カルマンフィルタ(extendedKalman filter; EKF)についても説明します。EKFは現在最も多用されているフィルタの一つであり、
その特徴や制約を明確にまとめます。
また、EKFに加えてunscented Kalman filter (UKF)やensemble Kalman filter (EnKF)、粒子フィルタ(particle filter, PF)
と呼ばれる代表的な非線形フィルタについても講述致します.UKFやEnKF、PFはEKFと比べてアルゴリズムが複雑になりますが、
より高精度な状態推定が期待できます.数値例を示しながらそれぞれのフィルタの特徴を示し、本講義でのカルマンフィルタと
非線形フィルタを総括します。
[講義内容]:
(Lec-1) 2023年10月26日(木)9:00~17:30
1-1. 確率統計の基礎
(1) 確率とは
a. 確率の公理、
b. 確率変数,確率密度関数(pdf),累積(確率)分布関数(cdf)
c. 期待値とモーメント生成関数
d. 2項分布と正規分布
(2) 確率密度関数(jpdf)と条件付き確率密度関数
a. 平均値ベクトルと共分散行列
b. n次元正規(ガウス)分布
(3) 条件付き確率と条件付き確率密度関数とベイズの定理
1-2. 推定論
(1) 最尤推定法と最小二乗法
(2) 線形回帰モデルのパラメータ推定
(3) 推定パラメータの誤差共分散
1-3. カルマンフィルタ
(1) 観測式(線形回帰モデル)と状態空間モデル
(2) カルマンフィルタの最も簡単な導出法
a. 条件付確率とベイズの定理
b. 時間更新式と観測値更新式の導出
1-4. 質疑応答
(Lec-2) 2023年11月2日(木)9:00~17:30
2-1. カルマンフィルタの復習
2-2. 非線形ガウス型の状態空間モデルと拡張カルマンフィルタ
2-3. 拡張カルマンフィルタの数値例
2-4. Unscented Kalman filterとEnsemble Kalman filter
2-5. 粒子フィルタと最近の展開、本フィルタ講座のまとめ、質疑応答
[講師からのメッセージ]:聴講者にはテキストをあらかじめ配布いたします.
また本オンライン講義終了後も一定の期間,E-Mail (できればZOOM)での質問を受け付けます.
[受講料]: 基礎講座(2日) ¥30,000(会員, システム制御情報学会員), ¥35,000(非会員),¥15,000(学生)
(協賛団体会員、養賢堂「機械の研究」の読者、などの方は会員価格となります)
本講義は、受講者総数(学生の方は0.5名に換算)が3名に満たない場合は、原則として閉講いたします。