世界のプレート運動

投稿者: | 2005-12-20

瀬野徹三
[ Link to u-tokyo.ac.jp ]

Overview – プレート運動は,学問としてのプレートテクトニクスのなかでも最も基礎的な部分を占める。言い換えるとプレート運動は,プレートテクトニクスのなかでも最も基礎的な情報を与えている。我々は,フィリピン海プレートが南海トラフから年間3cmの速度で沈み込んでいるとか,太平洋プレートの上にあるハワイ島が,年間10cmの速度で日本に対して近づいている,などという表現をよく耳にしたり目にしたりする。このような速度はまた,西南日本太平洋岸沖合で起こる巨大地震の繰り返しに対して,たとえば100年程度というおおまかな推定の根拠を与えている。なぜならば巨大地震の際のすべり量は数m であるから,年間数cm で南海トラフからフィリピン海プレートが沈み込むと100 年程度ですべり量に達するからである。これはオーダーの話であるから数百年になるかもしれないが,50 年ということはない。
このようにプレート運動は,日本列島の地震の生起を議論する上でもきわめて重要であるが,それがどのように記述出来るのか,その運動はどのように決定されるのか,高校教科書レベルではほとんど述べられていない。ただプレート運動の分布図が出てくるのみである。ここではプレート運動がどのような数学的定理を用いて記述されるのか,プレート運動にはどのような種類があるのか,地球表面の主なプレートの運動はどのように決定されてきたか,現在あるいは過去のプレート運動はどのようなものであるか,を解説する。

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