人工衛星の高精度軌道計算

投稿者: | 2013-12-20

盛本真史
[ Link to nihon-u ]

Overview – 人工衛星の軌道計算には,大きく分けて,短期的な軌道予測と長期的軌道予測の2種類がある.短期的な軌道予測は,リモートセンシングミッションの運用計画に利用できる.実際,商用リモートセンシングなどの高分解能を要求される地球観測ミッションでは,観測幅が狭いため,衛星が撮影対象地域の上空をいつ通過するかを正確に知る必要がある.そのため,ある時刻の軌道情報(位置・速度)を元に数値時間積分を行い,将来の衛星位置・速度を精密に予測する軌道伝搬ソフトウェアが必要である.そこで,本研究ではそのようなソフトを開発し,さらに初期値の精度を良くするため,GPS測位データを元に,拡張カルマンフィルタを用いて軌道情報を事後推定することで,オフラインでの軌道決定を行った.開発する上での達成目標精度は24時間後の予測位置精度を100m以内(cross-track方向)とした.ただし,軌道情報の初期値に誤差は含まれないものとした.一方,長期的な予測は運用終了後の衛星の落下予測に利用できる.実際,近年運用終了後の衛星を含めた人工的な軌道上物体が増加しており,これらはスペースデブリと呼ばれ問題となっている.すでに不要となった衛星は25年以内に軌道降下させるという努力目標が設定されており,超小型衛星(軌道変更が不可能な衛星)においては長期的な軌道予測が必要不可欠である.そこで本研究では,SEEDS-IIの打ち上げから現在までの5年強の軌道データをもとに,軌道降下予測の重要なパラメータである抵抗係数の推定を行い,それを元に,今後のSEEDS-IIの軌道降下予測を行った.また,SPROUTの軌道落下予測も併せて行った.

“人工衛星の高精度軌道計算” をダウンロード

B_2013_masafumi_morimoto.pdf – 295 回のダウンロード – 658.90 KB