レジリエント・ナビゲーション分科会

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【分科会長】 新井康夫 海技大学校名誉教授 測位技術振興会顧問

【趣旨】 GPS 運用開始時から、GNSS の脆弱性が問われ、対策として地上波測位システムをバックアップとする考えがあり、海上・航空機では eLORAN にて対応することとなっている。現実には、航空機のみが実効的に利用され、しかも、GNSS、LORAN と INS の複合で実施されている。海上では、中波ビーコンの電波を用いた DGPS でのインテグリティ機能で対応できるので、国際航海を航行する船舶には搭載を義務付けている。2000 年以降、eLORAN の有効性を唱え、2014 年実験運用をしてきていたが、広域での運用は中止され、現在では、英国、韓国での運用がなされている。
 移動体の自律航行が近未来での目標に挙がっているが、多くの規則や非自律航行の移動体との混在への対応、通信並びに航行支援システムの構築運用など多くの課題を残している。これらの中で、航法に対して、自律・非自律にかかわらず、安全・安心・効率を目指して、システム開発・構築が為されている。このときの、期待される能力は、単に精度のみならず、いかなる環境条件(その移動体における)に対しても、目標の精度を保証できるようにしなければならない。これは Resilient PNT といわれ、研究・開発がなされてきている。
 Resilient Navigation には、大別して、① 故意の妨害(Jamming、Spoofing)と ② 航法情報の Integrity(完結性:Data Fusion)がある。
① は、GNSS のみではなく、無線データ通信でも生じている。最近では、国内でもインターネットで、Jammer や Spoofing 用発信器が 1,000US$ 程度で販売されている。(データ通信の場合には、pass-code が open でないので困難)
② 例えば、位置については、GNSS と INS、地上波測位システムとでの位置情報の Fusion、これに RADAR(LIDERも含む)を加える。コンパスでは、ジャイロコンパスとマグネットコンパス、または多重化することで、航法に不可欠な情報の信頼度を挙げていく。
 これらの研究・開発には領域ごとに進めていくことは、効率的に不都合が多く生じる。広く、研究・開発する人が共通の場と認識を持つことで、効率的な開発へと進められると期待する。本分科会では、これらの認識を多くの人が持ち、領域を超えて、共有できるシステム開発を目指せるものとしていきたい。


【活動内容】
(1)参加者 希望者を募集(GNSS, 地上波測位システム, RADAR, VISUAL, INSなど広い分野での関係者)
(2)メイルでの意見交換・資料回覧
(3)機会あるごとに意見交換会
(4)セミナーおよび講習会開催(振興会主催)
(5)具体的な開発目標が構築できれば、システム開発(有志による)
(6)初期計画は3年間を目途


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