海上保安庁のGPS/A 観測システムとその成果

投稿者: | 2016-12-21

海上保安庁
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Overview – 海上保安庁海洋情報部では,東京大学生産技術研究所の技術協力の下,GPS/音響測距結合方式による海底地殻変動観測を実施している.海底基準点は,主に日本海溝及び南海トラフ沿い陸側に設置しており,測量船による繰り返し観測を行っている.
 海上保安庁の海底地殻変動観測システムは,主に船上局と海底局から構成される.船上局は,GPS アンテナ/受信機,音響トランスデューサ(送受波器),動揺計測装置からなり,時々刻々と変化する船の位置をGPS で計測しながら,海底局に対して音響測距観測を行い,音響トランスデューサ-海底局間の音響信号(音波)の往復時間を計測する.動揺計測装置は,KGPS 観測で得られた船上GPS アンテナの位置から音響信号を送受信した瞬間の音響トランスデューサの位置を求めるのに必要な船の姿勢を計測する.海底局は,船上の音響トランスデューサから送信された音響信号を受信し,一定時間後に返信する機能を持つミラートランスポンダで,1 箇所の海底基準点につき3 台又は4 台が設置されている.観測中は,音響測距観測で得られた音響信号の往復時間を距離に換算するのに必要な海中の音速プロファイルを取得するため,適宜CTD観測,XCTD観測,XBT観測を行っている.
 音響測距データの取得配置の例を第3 図に示す.通常の観測では,5~8ノットの速力で測量船を走らせながら10~12秒間隔で音響測距観測を行い,この配置を1 セット(約1300 ショット)として1 回の観測で4 セット(約5200 ショット)分の観測データを取得する.
 このようにして得られた音響信号の往復時間,音響信号を送受信した瞬間の音響トランスデューサの位置,海中の音速度構造から,最小二乗法により各海底局の位置を求め,それらの平均位置を海底基準点の位置として決定する.

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