藤田征吾,宮雅一,瀧口純一 (三菱電機株式会社)
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Overview – GPSは,六つの軌道面におのおの4機配置の合計24機の測位衛星と予備の測位衛星が地球を周回しているが,時間帯により日本上空での可視衛星数が減少し,位置の品質に影響する測位衛星の幾何学的配置( PDOP:Position Dilution of Precision )が劣化する場合があり,高精度でかつ安定な測位がすべての時間帯でできないのが現状である,さらに,高層ビル,高架,樹木や歩道橋など,測位衛星との見通しを遮蔽する建造物が多々ある都心部では測位率が劣化する.また,測位衛星から受信機まで電波が到達する経路には,電離層や対流圏での電波特性の変化により電波伝搬の遅延が生じる.これにより,測位衛星と受信機までの距離の測定誤差が生じ,位置の品質が劣化する.そのため,自動車や鉄道などの各種移動体の位置管理システムを現状のGPS 衛星のみで構築するには問題がある.その解決策として,準天頂衛星システムは,常に天頂付近にあるもう1機のGPS衛星としての役割とともに,位置の品質を向上させるための測位補強情報を目本全国およびその近海の利用者に放送する役割を併せもつ.前者を補完機能,後者を補強機能とよぶ.とくに,日本の都市部においては,高層ビルに遮られて捕捉可能なGPS 衛星が制隈されるので,常時高い仰角にある測位衛星があれば遮られることがないため,いつでもどこでも高精度測位サービスが受けられるようになる.この準天頂衛星は,補完機能とともに高精度の補強機能を併せもつことが特長である.本稿では,2018年度にまず4機体制で構築される準天頂衛星システムについて概説する,そして,本システムの最も特徴的な効果として,「みちびき」での実証実験結果について紹介する.
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