移動体向け広域型ネットワークRTK システムの検討

投稿者: | 2008-12-20

高須知二海老沼拓史安田明生
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Abstract – RTK-GPS (Real-time Kinematic GPS) はGPS/GNSSを使って利用者位置をセンチメータ級の精度で求める精密測位技術である。従来型RTK-GPSでは基準局と観測点の両者に受信機を設置して両者間の相対位置 (基線) を決める相対測位の手法をとる必要があった。近年、分散した多数の基準局網の観測データからRTK-GPS用補正情報を生成し、その情報を利用することにより単独の受信機のみで精密位置を求めることができるネットワークRTK技術が開発され、各種の応用分野で利用が始まっている。日本でも国土地理院の電子基準点網を利用した商用ネットワークRTKサービスが既に開始されている。
 既存の多くのネットワークRTKシステムでは利用者に補正情報を送信するために携帯電話回線を使う。そのため、山間地や過疎地域等の携帯電話通話エリア外ではサービスが利用できないこと、連続的な回線使用のため通信コストが過大になりやすいこと、障害物が多い環境では回線中断の影響で運用性が落ちること等、移動体の精密測位に応用する場合には問題が多かった。これら問題点の多くは衛星放送により補正情報を配信することにより解決可能である。しかしながら、従来型ネットワークRTKシステムでは広域利用者に補正情報を一括送信することを想定していないため、衛星を利用する場合、大容量のデータ伝送帯域が必要となり実用的とは言えなかった。
 さて日本では2009 年度中の初号機打上げを目標に準天頂衛星(QZSS: Quasi-Zenith Satellite System)計画が進められている。QZSSは日本及び周辺領域において測位、航法等の利用者に高精度の衛星測位サービスを提供する。QZSSの測位信号のうち周波数1278.75MHzのLEX信号は2Kbpsのメッセージ伝送性能を有しており、デシメータ・センチメータ級の高精度測位補強実験に利用することが予定されている。本研究ではQZSS LEX信号を使って、日本全国で移動体のセンチメータ級測位を可能とする広域型ネットワークRTKシステムの技術検討を行った。

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