PCR検査における統計学的考察(改訂版)

投稿者: | 2020-07-03

杉本末雄(立命館大学名誉教授)
[ Doc ID: sapt-2006-0003a ]

Abstract – 本測位技術振興会の活動も含め,新型コロナウイルスの感染に伴う社会的影響は甚大である.感染拡大の克服のために,PCR検査,抗体検査が注目を集めている.
 しかし,この検査には,本当は感染している(陽性である)のに,陰性と検査結果が出る(偽陰性),また逆に,本当は感染していない(陰性である)のに,陽性と検査結果が出る(偽陽性)という,検査に伴う誤りがある.
 本論文では,統計学的見地からPCR検査(抗体検査なども含め)について考察する.PCR検査については,その検査結果を,誤り確率を明確にしたうえで,
被検査者に伝えることが大切であることを示す.
そのために,検査対象者にとって,PCR検査結果がどの程度信用できるかについて,統計学での(S1)ベイズの定理を用いて検証する.
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 また,ランダムサンプリングにより,全国で1万人,大阪府では5千人と,PCR検査対象者を増加させ,感染率を推定したいとの現下の要請がある.ここでは,(S2)比率の最尤推定法について考察し,単なる比率の推定問題として取り扱うことでは,推定精度に大きな問題が生じることを示し, PCR検査の誤り確率の推定が非常に重要であることを示す.(S1),(S2)のいずれの場合においても,PCR検査の誤り確率を,統計学的に考慮することの重要性を示す.(改訂版)

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