事業革新・産業発展 分科会


【分科会長】 三本松 進 元宇宙システム開発利用推進機構専務理事 -Profile-


【趣旨】 日本は、2018年11月から、世界に先駆けて、高精度衛星測位データ利用時代となる。
これを受け、中長期的な観点から、「高精度衛星測位データ利用時代における産業発展と事業革新」に向けての取り組みを開始する必要がある。
その際の手法・フレームワーク、2018年4月時点での利用産業の状況、等については、この6月下旬に当振興会に論文投稿予定の「日本の高精度衛星測位データ利用産業の発展方向とその利用社会の構築に向けて(案)」において、明文化しているところである。
あいにく、日本の準天頂衛星からの高精度衛星測位信号の提供開始が2018年11月からとなったので、測位信号の提供開始後の2019年4月頃の状況を想定して、この投稿予定論文の枠組みをベースに、以下の仕組みと内容で、日本の高精度衛星測位データ利用産業の産業発展、事業革新の方向と課題をあぶり出して行きたいと考えている。


【活動内容】
(1)参加者
趣旨に賛同する希望者(支援:SPAC)
(2)成果イメージ
以下のタイトルの分科会報告書を作成
「高精度衛星測位データ利用時代における産業発展、事業革新」
測位技術振興会HPに掲載
(3)実施期間
2018年8月-
(4) 内容構成イメージ
① 11月運行開始後の分析用の構図、産業発展の方向、先進事例のブラッシュアップ
分科会長担当

イ 産業発展に向けたイノベーション要素(宇宙系と地上系)の構図
ロ 高精度衛星測位データ利用社会の構図(Society5.0の主要部分)
ハ 2つの構図からみた主要な産業、事業分野の発展の方向
ニ 先進68事例

.
② 革新的な先進事例の追加と先進事例からの新しい知見の搾り出し
各参加者と分科会長とで作成

(先端事例の例示)
a 高精度衛星測位とスマホ利用向け研究
SPAC
b 高精度衛星測位と3次元道路地図、プローブ情報
ダイナミックマップ基盤
c 高精度衛星測位とドローン自律運行のリンク
マゼランシステムズジャパン
d 高精度衛星測位とスマート農業の多段階最適化
クボタ、OPTIM
e 高精度衛星測位と公共土木・建築の多段階最適化
大手ゼネコン、LANDLOG(コマツ)
f 高精度衛星測位と自動運転(隊列走行、バス、タクシー)
先進モビリティー
g 高精度衛星測位とアジア太平洋展開
日立、GPAS、マゼランシステムズジャパン
h 高精度衛星測位と都市空間活用
ゼンリン
i その他提案事例
.
③ 参加者有志との意見交換、各自の意見の記述
意見交換を通じて、希望に応じ、参加者の個人的な展望、課題を記述。
これらを受け、今後の高精度衛星測位データ利用産業における、全体及び
分野別の展望と開発課題を明らかにしたい。


【開催経過と内容】
2018年の5月に本分科会を設立し、7月27日、10月19日、2019年の2月1日の懇話会の昼食時において、以下の通り、3回開催した。
第1回目の「17年度報告と18年度分科会事業の進め方」以外は、懇話会での分科会長の説明テーマの事前説明と自由な意見交換を実施した。
2018年
第1回 7月27日
① 17年度報告(18年6月公表)
日本の高精度衛星測位データ利用産業の発展方向とその利用社会の構築に向けて
https://jsapt.net/ja/post/18060001
② 18年度分科会の事業の進め方
第2回 10月19日
「G 空間社会」「Society5.0」と「利用社会の構図」の対比
https://jsapt.net/ja/post/18090001
2019年
第3回 2月1日
高精度衛星測位利用 公開シンポジウム開催企画案 ― 2019年4月17日開催


【総会・シンポジウムの開催】
(1)2019年4月17日(水)、本会は、高精度衛星測位利用公開シンポジウムを開催した。
ここでのテーマは、「日本の高精度衛星測位データ利用時代の事業革新・産業発展( 日本、アジア太平洋地域での利用拡大 )」とした。本シンポの事前周知を図るため、4月1日、同名の基調報告用資料を公表した。https://jsapt.net/ja/post/19040001参照。
 
(2)本シンポジウムでは、本報告の4大テーマである①事業革新・産業発展に向けたイノベーション要素の構図、②日本、アジア太平洋地域での利用社会の構図、③主要分野別の事業革新・産業発展の方向、④日本、アジア太平洋地域での利用拡大、の4点に着目し、多様な先進事例をベースに網羅的に論点を整理した。


【18年度報告の体系の進化】
上記の当初のテーマの「高精度衛星測位データ利用時代における産業発展、事業革新」から、4月のシンポジウムでの「日本の高精度衛星測位データ利用時代の事業革新・産業発展( 日本、アジア太平洋地域での利用拡大 )」へと進化させたが、その直後の4月23日、内閣府は、準天頂衛星7機体制に向けてのサービス強化の道筋と強化の内容について、外部機関に説明を開始した。
 本分科会としては、その内容の重要性に鑑み、これを体系内に取り入れて、更なる進化を試みて、2019年7月1日、「日本、アジア太平洋地域の利用拡大の方向(準天頂衛星7機体制のサービス強化)」を公表した。 https://jsapt.net/ja/post/19070001
(1)第1部分科会長報告
① 既に述べた上記の第1部の分科会長報告(19年7月1日公表)は、以下の章立てとなっており、高精度衛星測位データ利用時代における日本、アジア太平洋地域の利用拡大に対応した包括的な体系となっている。
Ⅰ はじめに(問題意識)
Ⅱ 高精度衛星測位データ利用に関する論点と検討の方向
Ⅲ 高精度衛星測位技術の基本構造
Ⅳ 第4次産業革命技術の構造
Ⅴ 国の成長・イノベーション戦略
Ⅵ 事業革新・産業発展に向けたイノベーション要素の構図     
Ⅶ 日本、アジア太平洋地域の利用社会の構図 
Ⅷ 主要分野別の事業革新・産業発展の方向
Ⅸ 日本、アジア太平洋地域の88事例での確認
Ⅹ 準天頂衛星7機体制のサービス強化
Ⅺ 日本、アジア太平洋地域の利用社会の展望
Ⅻ 提言 中長期的な利用拡大での戦略分野の方向 
参考文献
② なお、4月の総会・シンポジウムの内容との対比では、準天頂衛星7機体制に向けてのサービス強化の道筋と強化の内容、政府の19年6月21日の未来投資会議の位置情報関係の政策の追加内容の記述、先進事例の追加、等を行っている。
(2)第2部事例研究の編成替え
当初は、個別の8つの詳細な事例研究を行う予定であった。他方、4月17日のシンポジウムの際、以下の3点の先進的な報告と報告書のHPへの掲載がなされたので、これらを18年度報告としても活用することが適切であると判断されたので、以下に紹介する。              
その他の5点については、第1部分科会長報告中に、個別事例として、可能なものを簡単に取り込んでいる。

① 高精度衛星測位を利用したIoT・スマホ向け技術とサービスの状況 
SPAC 浅里幸起 氏 https://jsapt.net/ja/post/19040003 
② GPASの事業展開とアジア太平洋地域での利用拡大  
本会理事・GPAS取締役 五百竹 義勝 氏 https://jsapt.net/ja/post/19050003 
③ 準天頂衛星「みちびき」のアジア・太平洋地域での利用実証のご紹介 
(株)日立製作所 社会イノベーション事業推進本部 
事業戦略推進本部  菅原 敏 氏 https://jsapt.net/ja/post/19040002 
(3)第3部 自由研究の削除
第3部の自由研究についてはテーマの応募が無かったので、削除する。 


【19年度分科会活動の報告】
(1)19年度、本分科会は、2019年7月1日公表の18年度の分科会長報告「日本、アジア太平洋地域の利用拡大の方向(準天頂衛星7機体制のサービス強化)」の体系をベースに、政府の新施策、先端的な事例、等をフォローすることで、これを継続した。
(2)10月18日、SPACと連携して、東京で、第14回測位技術懇話会として、18年度分科会長報告をベースに、<高精度衛星測位利用拡大セミナー>を開催した。( https://jsapt.net/ja/post/19101817 )
(3)東京を中心とする関東の方々に、18年度分科会報告を中心に最新情報をご提供し、意見交換する機会を持つことが出来た。
(4)19年度中のこれら分野での先端的な技術研究、事業開発、商用化の事例を集め、また、上記セミナーでの各説明者の説明内容、意見交換内容を生かして、19年度報告を取りまとめた。2020年6月1日、これをSAPTのHPに投稿、公表した。
( 6月1日の投稿論文のURL掲載 )
(5)この18、19年度の研究成果が日本、アジア太平洋地域での高精度衛星測位情報を活用した経済、社会の開発と発展に資する先進的な文献となることが期待される。


【20年度分科会活動の報告】
(1)経過
 2020年6月1日、19年度報告を公表後、以下の成果普及活動を行った。
 2020年9月4日 第17回測位技術懇話会 
        19年度報告抜粋の説明と意見交換
 12月4日 第18回測位技術懇話会  
      高精度衛星測位受信でのキーである、受信機の更なる小型化、MADOCAの
      海外サービス展開について、企業から講演、意見交換を行った。
 2021年2月26日 第19回測位技術懇話会
      「日本のスマート農業と農業の自動化・機械化の展望」についての企業
      からの講演、自身のまとめ報告、意見交換を行った。
 4月1日 以上の成果をベースに、18、19、20年度の統合版として、20年度報告を作成して、SAPTのHPへこれを投稿、公表。
(2)20年度報告の19年度報告との対比での拡充
 上記の取組に関連して、この1年で主に以下の内容の拡充を行った。
  ① 分析枠組みの精緻化
  20年度報告では、利用社会の構図を精緻化して、「日本、アジア太平洋地域の利用
  社会の構図、行動原理と展望 (枠組説明)」として、利用主体の行動原理まで
  踏み込んだ。 
  ② 事例数の増加
  19年度の106から20年度の142へと36事例の増加。
  ③ 分野別の分析内容の最新化、精緻化
  上記の懇話会用の資料作成、等をベースに、スマート農業関係、都市空間管理関係
  (スーパーシティ―構想、トヨタWovenCity構想)、等について、内容を拡充して
  いる。
  ➃ 提言内容の拡充
  項目1(民間での事業モデル革新―受信機の更なる小型化)、項目5
  (新規 スーパーシティー構想への対応の方向)、項目8(アジア太平洋での利用
  拡大―相手国での通信キャリアとの連携、等)、等について、内容を追加、拡充
  している。


【21年度分科会活動の報告】
⑴ 経過
 2021年4月1日 19年度報告を公表後、以下の成果普及活動を行った。
 21年5月26日 第20回測位技術懇話会で20年度分科会長報告概要を説明。
 同年9月15日  第21回測位技術懇話会で、分野別に、日本の都市空間管理の
 イノベーションを説明。
 同年12月3日  SAPTのHPに、高精度衛星測位と無人航空機のイノベーションを投稿     
 22年1月21日  第22回測位技術懇話会で、同じ投稿テーマで説明 
 2022年4月1日 21年度報告をSAPTのHPに投稿、公表した。
⑵ 21年度報告の20年度報告との対比での拡充
 上記の取組に関連して、この1年で主に以下の内容の拡充を行った。
 21年度報告は、これら懇話会での成果を含め、20年度報告に比し、以下の内容を
 拡充。
 ① 事例数の増加 ( 142から154へ )
 ② 分野別の分析内容の追加、最新化
    受信機開発 無人航空機 都市空間管理   
 ③ 提言内容の拡充


【22年度分科会活動の方向】
22年度以降については、引き続き、21年度本研究報告の成果をベースに、活動する。
方向としては以下の通り。
 ① 2022年4月以降2025年まで、各企業、研究機関の先端的な事業開発、商用化の新事例、等を集め、本研究をフォローアップ。
 ② 特定の分野・テーマについて、最新の成果をベースに、懇話会、セミナーで説明する。


改訂履歴 2018年10月 分科会名を「産業発展・事業革新分科会」から改定
     2020年06月 2019年度報告及び2020年度活動方向を掲載
     2021年04月 2020年度報告及び2021年度活動方向を掲載
     2022年04月 2021年度報告及び2022年度活動方向を掲載